黒衣の男・・・アーサー=マッケン

 

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長かった・・・黒衣の宰相としてバロシア王に取り入り、魔力をもって10年かけて側近にまで登りつめた。それは自分以外すべてを欺き続け、王の命を取る機会をうかがい続けた10年でもあった。かつて命を賭して支えた人の血筋は、500年という歳月をかけて魔物のみならず、人をも虐げる暴虐な王を生んでしまった。しかし、それも今宵が最後となろう。アーサー=マッケンは両手を広げ、指先から立ち上る陽炎のごとき魔力の顕現を確認し、そして夜空を仰いだ。わが身に宿る力と星、月の運航が、今宵こそが王の命を奪う唯一の機会であることを告げていた。明日になれば、ミノタウロスたちがまず蜂起する手はずになっている。この10年はこの日のためにあった。マッケンは王の寝所に歩みを進めた。