パーンの族長・・・ダンニール=グラスコウ

 

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「ラフィ、ラフィニールではないか」 振り返るとダンニールがいた。「父さん、なんで・・・」帰ってくるのは明日のはずだった。「わけがあってな・・・」父が呟くように言った。「ラフィニール、お前まさか・・」 ラフィニールは、自分の苦しい立場、決意、母の墓所に報告したことを堰を切ったように父に告げた。その時、父の背後の森の中から声が聞こえた。「すまぬ。話は聞いた。しかしそれは好都合だ。」姿を現したのは一人の人馬だった。ラフィニールは驚愕し、素早く身構えた「人馬、ここに何をしに来た」「ラフィニール、違うのだ。こちらはアルガン=リキニウス殿だ。人馬の長老でいらっしゃる。失礼があってはならん」ダンニールは息子を制し、つづけた。「このたび、パーンと人馬は和解したのだ。」ラフィニールはわけがわからなかった。この土地は、100年前に王命により人馬より取り上げられ、パーンに与えられたものだった。これは魔物間での友好を壊す王の施策だったのだが、結果的には豊かな土地を得たパーンの種族は繁栄した。しかし、人馬との対立は今日まで続くこととなった。「反乱が成就した暁には、人馬にこの土地をお返しすることとなった。」父の言葉をアルガンが引き継いだ「それが、我ら人馬が同盟に加わることの条件なのだ。パーンの方々には申し訳ないが、現在の天領に移住していただくことになったのだ」風が強くなってきた。一羽のマネシツグミが梢を渡っている。「ラフィ、お前に言わねばならないことがある」ダンニールは苦悩をにじませ息子の顔を見た。「同盟締結には、もう一つ条件があるのだ」ラフィは理解した。アルガンの言葉、人馬とパーンの関係、父の表情がすべてを物語っている。「アルガンさんは僕を迎えに来たんだね。僕は人質なんだね」