いたずらエルフのユックの話

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いたずらエルフのユック

ここは森の国。人が立ち入る事のかなわぬ妖精たちの国。 そんな森の奥で悲しみに暮れているのは、いたずらエルフのユックです。どうやら右の翅が根元から折れてしまったようです。なんでそんなことになったのでしょう。 時間をさかのぼってみますと・・・・・・・・・・・・・・・

ユックはキリギリスの髭を切ったり、小鳥たちの蓄えた木の実をばらまいたり、と云ったいたずらを毎日毎日繰り返していました。 ユックはもとより天涯孤独で他の妖精たちとも仲良くしなかったので、森のみんなに嫌われていても、意に介しませんでした。 この日も、樅の枝に座って下を誰か通らないかと待っていました。一抱えもある大きな樅ボックリをその誰かに落っことしてやろうという算段です。 でも今日に限ってなかなか通るものは来ませんでした。 ユックは退屈し、眠くなってしまいました。危なっかしい樅の枝でコックリコックリし始めた時、雄カケスが下を通りかかりました。 冬に備えて団栗を探していたのですが、ふと上を見上げ、ユックを見つけました。ユックは気づいていませんでした。        雄カケスはひどい目にあわされていましたから、仕返しをしてやろうと思い立ちました。足音を立てずにそっと歩き、羽音を立てぬようそっと飛びました。そうしてユックの枝のすぐ上の枝にとまり、大きく息を吸い込み、一声「ジャー」 想像してみてください。居眠りしているすぐ頭の上でいきなり「ジャー」ってカケスに騒々しく鳴かれたら。 ユックはもうビックリして、バランスを崩し樅ボックリを放りあげてしまいました。そして自分も枝から落っこちてしまったのです。 何とか空中でバランスを立て直したのですが、その時放りあげた樅ボックリが運悪く右の翅に落っこちてきたのです。「バキ」とても嫌な音がしました。 ・・・・・・これが事の成り行き。

雄カケスは満足げに「ジャー ジャー」と鳴きながら飛んでいきました。 ユックは地面に落っこちました。横を見ると折れた翅がありました。地面にいるのが嫌だったのでそばにあったオオナラタケに座り、後悔し悲しみ途方に暮れているといった風情です。 飛ぶ道具の翅が折れてしまってはもうどうしようもない。しかも根元からなので、松脂で接ぐことも出来ません。 自業自得だけど、可哀想なユック。 どうすることも出来ないのでしょうか。

 

皆さんご安心を! 実はエルフは翅がなくても飛べるのです。 なぜって? それはエルフだから、エルフはそう云うものだからとしか言えません。 考えてみてください。小人の体に虫の翅で飛べるでしょうか? 翅は肩甲骨に付いているので、肩を回す要領で羽ばたけますが、飛ぶ力はありません。羽ばたくのは飛ぶ気持ちのスイッチを入れているだけのこと。ほんとは必要ないんです。 でもほとんどのエルフはそのことを知りません。知らずに一生を終えてしまいます。 「それじゃあ、やっぱりユックは飛べないままなんじゃないか」って思うでしょう。  

またまた、皆さんご安心を。 この森の三つ先の隠れ家森に翅のないエルフの老人が住んでいるのですが、この老人が飛び方を教えてくれるでしょう。そして今まさに老人の家にやっかいになっていた旅人二人がここを通りかかります。ユックは歩いてそこまで行かなければなりません。大きな森を三つも旅をするのです。この森から出たことのない小さい体で、それはそれは大変なことでしょう。 でも、そのぐらいの苦労はしないとねユック。 おお 旅人がやって来たようです。

キルロイとオルゴの二人のゴブリンがキノコの上に座っている一人のエルフを見つけた。